2025.6.17

■吉野林業全書から学ぶ 
38_杉・桧の山林の手入れの方法

杉・桧は植付けを行ってから3年間は、毎年2回ずつ梅雨時と夏の土用の後に下草刈りを行う。

その後4年間は、毎年1回ずつ夏の土用に下草を刈り、それを捨てずにそのまま肥料として与える。そして、植付けを行ってから8年目と9年目の両年はフジツタやその他のツル草類を取り除く。

その翌年の10年目には、小木の場合は地面から60㎝~90㎝、通常のものは地面から150㎝~180㎝までナタで下枝を打ち落とす。14~5年目になって、小木は地面から150㎝~180㎝、大きいものは地面から240㎝~270㎝の下枝を打ち落とす。なお劣勢木の枝打ちは20年目くらいになる場合もある。

ここまでは杉・桧いずれも同様に行うのだが、その後の杉の枝は自然に枯れ落ちて枝打ちを必要としない。

ただし、森の周囲の並びは一方の外側だけ枝を伸ばす。これは打ち落とさない方がむしろ得策のようである。

元来、杉は軟弱であり直射日光を嫌う。よって、周囲に枝が繁茂していれば、防風樹となり日光も遮ってくれるからである。

【備考】
萱(カヤ)の多いところでは、植付けを行ってから1~2年の間に1回11月に鍬で表土を打ち起こして、萱の根などを寒中に晒し繁茂しないように手入れしなければならない。

これは相当費用がかさむが、数年の間に何回も下草刈りに費用をかけるのと杉・桧の苗木の成長が早いことを比較すれば、この作業はかえって利益になるということになる。

よく考えて行うこと。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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丁寧な枝打ちは、吉野杉の特徴でもある節の少ない優良材を生み出す大事な作業ですが、病害虫の防除・林内の光環境の調節・林内の見通しを広げて作業をしやすくするなど、様々な役割を果たします。

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