2025.5.4

■吉野林業全書から学ぶ 
28_山植え苗木の抜き取りとその季節

山行きの杉苗は、その日に植え終わる分の苗をその日の朝に掘り越すのであるが、深い山奥にある植栽地では春であっても氷雪が未だ解けず、すぐに植え込みに着手できない場合もある。

しかしながら、春の暖かさで苗木に白根が生え、芽を出してしまうからこれをそのまま置いておくと、掘り起こすときに苗木の皮がむけて枯れてしまう心配がある。

そのため春の彼岸が終わるまでには全て掘り起こし、20本ずつの束を数束にまとめて、植栽地近辺に運んで根元の15㎝程度を谷川に漬け置き、それを順次植え付けていく。
吉野杉
もし遠方から取り寄せた苗であれば、すぐに山へ送り谷川の水に浸して水を十分に吸収させて、土地の風土に慣れさせた後に植え付けることが大事である。

桧苗は杉苗と大きく異なり、水に浸すことは厳禁である。桧苗を水に浸すと数日後には葉が黄色に変色し全て落葉してしまう。

よって、桧苗を畑から掘り起こすか、遠方から取り寄せた場合には、すぐに植栽地に送り日陰の適当な所に根深く埋めておき、それを順次植え付けていく。

【備考】
苗木の根には色々な種類がある。細くて数の多い髭根、切断が必要である太くて長いごぼう根、劣等苗である太くて短い鳥足、これらは発育が悪いから苗木には向かない。

ただし、1年間他の畑に移植しておけば良苗とすることができる。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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農作物であっても苗の植付けはデリケートであると思いますが、この吉野の急峻な地での植付けはさらに大変であったと思います。

それでも「植えられるところには全て植えた」というように、かなり標高の高いところであっても川上村のほとんどが造林されています。

何とも逞しい先人たちです。

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