2024.9.8

■吉野林業全書から学ぶ 
14_杉・桧の種子採取の用具①

杉・桧の種子採取に際して一本梯子(むかで梯子)を使って木に登り、高すぎる木には綱を使う。

綱を使う場合は、まず放り綱を下から2番目か3番目の枝に投げかける。放り綱には石が結び付けてあって、枝に投げ掛けて石の重みで綱が下がったところに、太綱を結び付けて放り綱を引くと、太綱だけが枝に掛かった状態となる。

枝に掛かった太綱の両端をその木の根に括り付ければ綱梯子のようになり、両手で太綱を持ってよじ登り枝に乗り移ることができるようになる。

その際一番下の枝に掛けてしまうと、種子採取のできる枝に乗り移れないことに注意すること。

枝に乗り移った後は、ナタか鎌で種房(イガ)のついている枝先を切り落とす。枝を切り落とす時には木を傷つけないように、枝の根元から切らずに葉のある枝を残しておかなければならない。

【手綱の補足】
枝が高くて梯子が使えない場合に綱を使う際には、手綱が二本必要である。

一本は長さ約30m、重さ約400gの放り綱で、片端小石をくくり付ける。もう一本は長さ約30m、重さ約5.5kgの太綱、その2本を上記の解説ように使用する。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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綱を使って不安定な木の高い所までよじ登る作業も、大変危険であったと思いますが、川上村の施業地は挿絵にあるような平坦ではなく急峻な地形で、さらに命がけの作業だっただろうなと想像できます。

原木市場に出荷される100年生以上の原木丸太ともなれば、そういった命がけの作業を経てそこに並べられているわけで、競りで先人たちを労う対価が追加されることもないという現実は、何とも言いようのない気持ちになります。

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