2024.7.18

■吉野林業全書から学ぶ 
6_吉野杉の発端検証②

■吉野林業全書から学ぶ
6_吉野杉の発端検証②

『吉野林業全書』における、吉野林業の始まりを文亀年間(1501年~1503年)とした500年の歴史という根拠について、「吉野林業と優良材 (岩永豊著) 」の中でも触れられています。

享保14年(1729年)、 江戸幕府の採薬使 植村佐平次(政勝)によって記された「諸州採薬記」の中に、

「川上筋の内この辺吉野杉名物にて山の上まで植置あり、他所村の谷に植ある杉より能く生ひ立ち候事」

といった記述があり、すでに約300年前に山の上まで植林が進んでいたとの推定から、吉野熊野国立公園の父とも言われる岸田日出男が文亀年間起源説を支持したとのことです。

また、1892年の「大日本山林会」会報誌の中では、

「文治・建久の頃(1185年~1198年)に屋久島より、杉苗80本を貰い受け、郡中及び他郡へ植栽し、これが吉野杉の始めなり」

と伝えています。ただこれは小さな範囲の出来事であり、それが果たしてどこまで増殖されたかは推測の限りではないようです。
吉野杉

 
参照:「吉野林業と優良材 (岩永豊著) 」
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吉野林業の開始年度を明確にすることはとても困難で、確定させる理由もほとんどないのですが、こうして約500年の歴史を推測できるだけで、奈良県川上村内で300年生や400年生といった高樹齢の吉野杉を実際に目の当たりにした際に、「ああ、これはご先祖たちによって植林され、代々繋ぎ育てられてきたものなのだ。」と、ずしんと重く感じることができます。

そうなると、必ず次の世代へこの吉野の森を守り繋いでいかなければならないという使命感に駆られます。

できることは本当に小さく限られたものではあるのですが、思いを繋ぐことも大切なんだと自分に言い聞かせています。
 

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