2025.5.11

■吉野林業全書から学ぶ 
31_杉・桧苗木の植付け場所の地明け②

杉・桧の苗木の植付け予定地について、2~3年または、4~5年に渡って焼畑として雑穀類を耕作した場所では良材をつくることはできないので植え付けるべきではない。

焼畑に植え付けた樹木は、植え込み後の7~8年間は成長が早く、10年目頃から急に勢力が減退し生育が大きく遅れるものがある。

林業家たるもの、数十年、数百年の年月を積み重ね、大径木の良材を得ようというのであれば、焼畑造林は絶対に行ってはならないのである。

また、杉・桧の苗木の植付けに先立って所有地の四方の境界を明確にし、隣地に入り込まないように注意すること。

植付けの際に明確にした境界の中心から少なくとも一間の幅を開けておけば、将来に境界で揉めることもないし木材運搬にも便利なのである。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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焼畑造林について一切禁止を解説していますが、実は吉野林業は焼畑造林から始まっています。

当時は20年生木材でも商品化が可能だったため、焼畑跡地休閑期間の積極的利用策として短伐期林業を行っていましたが、「吉野林業全書」が書かれた頃には、樽丸生産需要をはじめとした大径木生産が中心となっていたのでこういった解説になるわけです。

境界明示についても触れられていますが、まさか大切な山々が所有者不明となって問題になるとは、当時は思ってもいなかったことでしょう…

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