2025.5.5

■吉野林業全書から学ぶ 
29_地形及び土質の事前調査

杉・桧の植付けには、まず地形と土壌調査が重要となる。

杉・桧とも陰地(西北向き)が適しているが、山のすべてが陰地ばかりではなく、もちろん陽地(東南向き)もある。

杉は陽地に適しないが、桧は陽地で生育しないわけでもないので、杉を陰地に、桧を陽地に植え付ければよいのである。

土壌には壌土、植土、墳土、塗土、壚土、砂土などさまざまな土質があるが、杉・桧ともに黒土で小石混じりの土地で、水気を吸収しやすく、また水捌けの良い土壌が最適である。ただ、桧は小石混じりの赤土で乾燥した土地でも差支えはない。

まずもって山のすべてが同じ土壌というのは稀で、中腹以上は自然雨水によって表土は流れて肥土が減り、その上乾燥しやすいから桧を植え付ける。

中腹以下の土地は、その自然な流れによって肥沃で湿気を含むから、杉を植え付けるのが適している。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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川上村の吉野林業では、おおよそ杉8割、桧2割で植え分けが行われています。

広い川上村では地形や天候も様々で、「ここは、ええ(良い)木がよう育つねん」といったようにエリアごとの感覚が備わっているようです。

山いきさんたちからは、「ここは地力が強い」「ここの土でええ赤身(の木材)がとれる」といった奥深い話もよく耳にします。

いずれにしても、長い歴史で培われた技術と元々の山の地力、そして雨の多い気候、様々な要素が合致して吉野林業は成立しているんだと思います。

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