2025.5.3

■吉野林業全書から学ぶ 
27_移植後の杉苗木の除草と施肥

移植後の杉苗について、根が付かないままに施肥をすると、かえって枯損するおそれがあるのですぐに肥料を施してはならない。

移植後に10日以上も雨が降らなくても、その際はきれいな水をまく程度で、20日~30日経過して根付いた時に除草し肥料を施すのである。

肥料は畑三坪に対して、水肥約60ℓに油粕を約900gの割合で混ぜて施す。

施肥のタイミングや時期は、梅雨の雨の多い時期を見計らって芽を伸長させるために2~3回十分に行い、後は秋分までに2~3回行って止める。

秋分以降に施肥すると、冬芽が出てそれが寒風にあおられて、かえって心芽を枯らしてしまうことになるため注意すべきである。

肥料で避けなければならないのは生の人尿であって、これをやってしまうと奥芽ばかりが伸びて苗木のひげ根が消えてしまう。良苗も悪苗になってしまうから注意しなければならない。

1年に6~7回、雑草が生える度に除草を行わなければならない。加えて、施肥の前に除草を行うと苗木と苗木の間の土が柔らかくなって、肥料がよく浸透し長持ちするので良い。

桧苗の除草と施肥は杉苗と同じでよい。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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種から苗の育成までもずいぶん長い道のりでしたが、次回からいよいよ山への植付けが始まります。

現在の気候変動などの影響が心配になるのですが、ここまでの工程は現代のテクノロジーがカバーしてくれそうです。しかし、山に植付けられてからは、まさに大自然の荒波に旅立っていくわけで…この時代の人工造林の困難さが増していきます。

環境問題にどこまで抗うことができるかは壮大すぎるテーマですが、持続可能な吉野林業を目指す人々の想いが通じることを願うばかりです。

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