2025.12.30

■吉野林業全書から学ぶ 
62_樽丸の発端とその製造方法②

丸丈(樽丸の長さ)一尺八寸に玉切りした丸太を大包丁で中心部を通して二つに割り、丸太の大小に応じて適当な数に小割をする。

小割をしたものは割り削りと言って、二人一組で一人が割り、もう一人が削る。

割り人は割包丁で木の大小によって、幅三寸から五、六寸(約9㎝~18㎝)、厚みは最初に一寸(約3㎝)ずつに割り、あとからこれを二つに割って一枚の厚みを五分(約1.5㎝)とする。

削り人は内側、外側ともセン(両端をにぎれる削り包丁)で削る。そしてこれを一枚ずつ四角の枠(井桁)のように高く積み重ねて乾燥させる。

この樽丸を割った外側の白いところは木皮(コワ)と言って、薄いものはこれで白丸(砂糖桶などに使う)を造り、厚いものは樽の蓋(フタ)にする。木皮は厚みを区別して樽丸と同様に乾燥させるが、横積みに乾燥させる場合もある。

【追記】
樽丸製造を行っても利益を見込めないものは、貫(ぬき)に加工したり、丸太のまま家屋の建築用材としたり、酒桶類、板類、襖、額縁等、他の適当な用材に使うほうが得策である。

この二間丸太について、前後七寸(約21㎝)ずつ切り取ったものは、柾目に割って削り蒲鉾(かまぼこ)板に使用する。蒲鉾板は長さ七寸(約21㎝)、幅二寸(約6㎝)、厚み五分(約1.5㎝)で、杉の切り株からも製造する。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
____________________________________________________________________
 
蒲鉾板のような、無駄なく木を使うというところから生まれている伝統的な産業ですが、そもそもの木材利用が大きく減少して生産しなくなってしまったり、材料を取り合うような状況です。

吉野で有名な「らんちゅう」や「天削」などの割箸は木皮を利用し、「一合枡」の材料も柱や鴨居といった建築材料の端を使いますので、これらにも大きな影響を及ぼしています。

最新の記事

アーカイブ

≫■吉野林業全書から学ぶ 

最新の記事

アーカイブ