2025.12.26

■吉野林業全書から学ぶ 
59_杉の洗い丸太製造とその用途①

洗丸太の製造は、杉の樹齢40年前後の立木の中からそれに適するものを間伐するのであるが、春から夏にかけてできた新肉の部分はことごとく皮に吸収され、肉は木質部にならないため、夏の土用後30日前後に伐採し、枝や皮を付けたまま三ヶ月間山中に放置する。

最上級品ともなれば、日数と費用がかさむが、寒中に製造することで黄白色を帯びて極めて美しいものとなる。

その製造方法は、立冬(11月8日頃)に木の長さや曲がりに応じて、長さ一丈から二間(約3mから約3.6m)、最も長いものは四、五間(約7.2mから約9m)に鋸で切り川辺に運んで皮をむく。

それを一本毎に少し高い台に載せて水を掛け湿らせて、細砂を塗り棕櫚(シュロ)の皮で摩擦した後、洗浄しよく拭って干す。

丸太の裏面には背割として一方から中心に達するまで鋸目を入れ、3、4ヶ所に楔をはめておく。この背割りによって材全体に割れ目を生ずるようなことはない。

木口は傷つかないように処理し、納屋の中で陰干しにすると木肌は黄色を帯び美しい光沢を生む。

運搬の際には一本毎に紙で巻き(小さいものは2、3本ずつ竹の皮で括る)、さらにその上を杉皮で包み縄で括る。そして一丈物は四束、二間物は三束、三間物は二本、四間物は一本を荷車の一駄として陸路を運搬する。ただし、下等品は筏に載せて運送すればよい。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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磨き丸太にしても丸太をそのまま使う場合は、解説のように秋に伐採し、葉枯らしは寒い時期に行うほうが虫食いの被害が少ないようです。

ただ、せっかく綺麗な表情を出せても、現代ではどこで使われるにも冷暖房が完備されている場面が多いので、自然環境で育った木たちには逆に過酷な環境に晒すこととなり、反りや割れなどはなかなか防ぎづらいといった側面もあります。

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