2025.12.20

■吉野林業全書から学ぶ 
57_杉の間割りの方法とその用途

樹齢100年以上の良材を長さ六尺五寸(約2メートル)に切り、末口直径60㎝以上のものについては、蜜柑(みかん)割りといって方円の木を木口から十文字に割る。

その割り方は普通の斧で木口の真ん中に切り目を入れて、これに長さ約15~18㎝、幅約9㎝のカシの木の矢をはめる。

そして、これを4、5回打つと木目を通してちょうどナタで削ったように、また断面は磨いたように気持ちよく割れる。これをさらに2個に割ると三角形のもの4個となる。

これらは酒桶、天井柾板、額縁、襖縁など、いわゆる杉の最上級品を使うところに用いられる。

このような良材は、適地適木の結果と完璧な撫育管理によって得られるものであり、植栽本数が疎植過ぎた、あるいは密にし過ぎたなど、植栽方法が間違っていたとすると、たとえ土壌が良く撫育が完璧であっても決して良材を得ることはできない。

これまでに解説した方法にしたがってよく注意すれば、良材を生み出すことはそれほど困難ではない。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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現在のように製材機を使っているわけではありませんので、解説のように簡単に丸太が割られていたとは思いません。ただ吉野杉ならではの真っ直ぐで細かな年輪は、他の樹種より製材しやすかったはずです。

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