2025.10.7

■吉野林業全書から学ぶ 
48_杉・桧の間伐の方法③

杉は十一番間伐から十三間伐(植付け後70年~100年の間伐)まで実施する。間伐の季節は、丸太用材は春の彼岸の後30~40日の間に伐採を行い、樽丸や酒樽、板類の材料とするものは夏の土用の間に伐採するのが良い。

桧は大小に関わらず夏の土用後の30日以内に伐採を行う。

伐採方法は杉・桧とも大鋸で根元の追い口(木を伐り倒す反対の方向)から挽き、この挽き目にカシの木の矢をはめて槌で打ち込み、受け口から大斧で伐るのであるが、都合によっては綱を使ってその木を傾斜面に沿って倒し皮を剥く。

この杉皮について、上等品は6尺5寸(約2m)、下等品は5尺(約1.5m)の長さに切ってそれぞれの用途に使いわけると良い。

また、杉は伐採した後木の枝葉を切り払わないで乾かし3ヶ月以上はそのままにしておく。

桧は杉と同じように乾かすとヒビ割れが入るので、伐採した時にすぐ挽き切りと節打ちをすることが重要である。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
____________________________________________________________________
 
「木を斜面に沿って倒し~木の枝葉を切り払わないで乾かし」の部分は、「葉枯らし乾燥」のことですが、木材の水分を葉から蒸散させる方法です。

現代では人工乾燥も発達し、必要ない工程に思われるかもしれませんが、ヘリコプター集材が中心の吉野では水分を抜かない生木ではとても重たくて、出材効率が悪くなるといった理由もあります。

また、何といっても芯材(赤身部分)は伐採後すぐに真っ黒に変色しますが、葉枯らし乾燥によってこの渋が抜かれ、吉野杉の美しい淡紅色が生み出されるという役割もあります。

ただここ最近、夏の土用あたりがとんでもない酷暑であることが多く、その暑さも考慮しなければ蒸散作用に必要な枝葉がすぐに枯れてしまうようなことも起きています。

最新の記事

アーカイブ

≪■吉野林業全書から学ぶ 

≫■吉野林業全書から学ぶ 

最新の記事

アーカイブ