2025.8.30

■吉野林業全書から学ぶ 
42_借地林業制度と山守制度①

杉・桧の人工造林の脅威となるものは暴風と豪雪と火災の三つであるが、全国で最も恐れられているのは火災である。対策が良ければ無事に済むのであるが、なかなか良い方法はなく大損害をのがれることは容易ではない。

ところが、奈良県川上村では広大な山林の7~8割まで杉・桧の人工造林であるにもかかわらず、実に火災は少なく大火がない。

その理由は何かと言えば、「借地林業制度」が普及し、山役金(山年貢、後払い地代)の制度があることに他ならない。

山役金とは、立木の間伐と皆伐の売上代金の2%~5%を立木の持主が地主に支払うもので、川上村東川の検査所が筏一床ごとに検査し徴収している。つまり、村内の立木が売られるごとに村民の共有基本財産が増えていく。

山役金は個人が自由にできるものではないが、運営の良い村や区は一年間の村費や区費をまかなえるまでとなり、税金を払う必要がなく配当金さえ受け取る家も多い。

また、川路浚渫費(川底の整備や清掃)、道路改修費、教育費等の補助に支出され、村民の負担をなくし剰余金を基本財産として積み立てる。

(そういったことから、山での災害は村民にとっては大損失に繋がるため山林保護に努める。)

よって、吉野地方では杉・桧山林の第一保護者は誰かというと、これは持主の人間ではなく山役金制度である。

また、山役金制度とは防火についての村民の真剣さである。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
____________________________________________________________________
 
吉野林業全盛期においては、山役金なる基金が積み上がり、林業の様々なインフラまで支えていたため、山林保護は何より最優先だったようです。

では、現在は山を大事にしないのかというと、そうではないと言いたいところですが、全盛期の人工造林サイクルは破綻しているのが現実です。それでも山にお金が戻るように、新たな需要創出に向けてチャレンジしていかなければなりません。

最新の記事

アーカイブ

≫■吉野林業全書から学ぶ 

最新の記事

アーカイブ