2025.1.2

■吉野林業全書から学ぶ 
22_杉・桧の種子の播き付けの方法

苗床に精選した種子を、畑1坪に対して二合の割合で播く。

播いた上から通路の土を目籠に入れて、通路に立って薄くふるい掛ける。

その上にはさらに、暴風雨対策や地面の乾燥予防のために覆いをするのであるが、栂(つが)の枝葉が最適である。次いで、樅(もみ)、桧(ひのき)が望ましい。

これら3種類の枝葉がないときは、杉柴(すぎしば)、萱(かや)、藁(わら)、麦藁(むぎわら)、栗殻(くりがら)などを代用しても良い。

栂の枝葉が覆いとして最適である理由は、小枝が生い茂りその葉が細長く平均にしげっていて、その細い葉が数か月の間に落ちて勝手に地面に敷き詰められることにある。

杉・桧の種子が発芽し芽は陽光を求めて伸びていくが、栂の葉は細かいから成長の邪魔をしない。

また、苗木の間に自然にばらまかれた栂の葉は、炎暑を防ぎ雑草も抑制する。寒い時の霜柱で根が緩み、地面に持ち上げられることも防ぐ。その上、肥料分も少しはある。

色々とデリケートな作用をしてくれるのが栂なのである。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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そこにあるものを使う…ごくシンプルな先人たちの知恵であり、大量消費・大量生産の時代に忘れ去ってしまった、自然との共生や地産地消という考え方そのものです。

間違った道を歩んできたとすれば、これまでの全てを捨て去るというわけではなく、良いものは残して新しい道へ進化させることができるのが人間の良いところです。

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