2025.12.23

■吉野林業全書から学ぶ 
58_杉の垂木製造とその用途

杉の垂木は、間伐して3週間が経過した小径木を材の長さや曲がりに応じて、七尺、一丈(約2m~約3m)または、二間、二間半(約3.6m~約4.5m)に鋸で挽いたものをそのまま川辺に運ぶ。

そして、幹を傷つけないように節を取り除き、元口を川水に浸しておく。しばらくして川水が浸透した頃に、棕櫚(シュロ)の皮に細砂を包んで一本ずつ磨き上げる。

これを洗ってよく拭い乾燥させた上で納屋に入れ1か月以上置いておくと、自然に黄色を帯び美しい光沢が生まれる。

洗い垂木を販売先に運搬するには次のような荷造りをする。

長さ七尺(約2m):上等25本、中等35~36本、下等40~50本

長さ一丈(約3m):上等12本、中等17~18本、下等24~25本

長さ二間(約3.6m):上等8本、中等12本、下等16~17本

長さ二間半(約4.5m):上等6本、中等10本、下等14~15本

このように分けられた材は、それぞれ竹の輪にいれて1束としてこれを紙で巻いた上にさらに杉皮で包み縄で括る。表には発送人と受取人の住所姓名と材の本数を大きく書いて、材の木口には発送人の刻印を打っておく。

そして4束を1駄(馬1頭に背負わせられる量)として荷車に積んで運搬する。品質が中等以下の物は、紙や杉皮で包まずに1束のまま筏の上に載せて送る。

これらの材料は、家屋の天井子、庇の垂木、その他簡易な格子等に用いられる。

(追記)
洗い垂木は、寛文年間(1661~1672年)に始められたもので、現在(明治末期)でも多くの需要があり出荷は盛んである。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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若齢の間伐材でさえ余すことなく使われていた古き良き時代ですが、今では出材費用のほうが高く付くため捨て去られているような材も多いです。

現代においても用途がはっきりとして需要が広がってさえいれば、そういったバランスも解消されるのでしょうが、爆発的な需要は存在せず厳しい時代が続きます。

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