2024.10.27
■吉野林業全書から学ぶ
19_杉・桧の種子の精選
収穫した種子は水洗いしなければならないのであるが、その方法について、まずは三斗(54リットル)入る桶に七分目まで、すなわち二斗一升(37.8リットル)の水を入れ、一斗(18リットル)の種子を一昼夜漬けておく。
翌日、浮き上がってきた種子は処分して、沈んでいる種子だけを籠に移し取る。その後、水気が少なくなった時にむしろに移して、天日に当てて完全に乾燥させる。
乾燥させた種子は篩(ふるい)に2回かけて、大きすぎるものや小さすぎるものを取り除き、大きさの揃った中位のものだけを精選しなければならない。
その理由は、大粒すぎる種子は成長が早すぎて小さすぎるものは遅すぎる。苗木が生え揃わないということは他の苗の成長を妨害することになるから、どれも同じように苗を成長させなければならないのである。
参照:吉野林業全書
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水に浮くか沈むのかといった種子の発芽率の判別方法は、昔の人の迷信に近いものとも言われますが、密植、多間伐によって木目の通った材を育てるために、苗木から同じように成長させることを意識するならば、大事な精選方法となるのだと思います。
いずれにしても、種を作るところから気持ちの良い丁寧な仕事です。