2025.6.10

■吉野林業全書から学ぶ 
33_杉・桧苗木の植付けとその季節②

苗木の植付けにおいて、杉・桧の混植を行うことで得られる利益は大きい。

混植の割合は土壌によっても違うが、
最上等地 杉:桧=9:1
上等地  杉:桧=7:3
中等地  杉:桧=5:5
下等地  杉:桧=3:7
最下等地 杉:桧=1:9
といった割合とするのがよい。

いたって軟弱な杉の苗木は暴風や大雪によって折れやすく、直射日光を嫌うので、上等の杉の適地であっても桧と混植することによって桧の葉が平らに密接して日光を遮り、加えて強靭性も持ち合わせており、暴風大雪にも折れる心配もなくおおいに杉の生育を助けてくれる。

また、下等の桧の適地でも杉を混植すればその利は大きい。桧の苗木の価格は杉より高い上に、植付け後25年位は間伐材として利用できない。つまり、杉を混植すれば植付け時の苗木の価格も下げることができて、早い時期では杉を間伐して桧を残すことで杉の間伐収益があり、その上、杉の枝葉が腐って肥料となり桧の生育を助けるのである。5回、6回と間伐を重ねれば杉を伐り尽くして良材の桧が残る。

ただし、間伐は均一な優良木を残すために行うので、杉・桧に関わらず不良木を伐採していくのが原則である。

吉野杉

 
参照:吉野林業全書
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単純に杉と桧に適した土壌に植え分けられていたものではなく、収益のために杉・桧の生育特性や土壌の良し悪しを補完させるように混植していたとは…やはり吉野の森は人の手が生み出したものだと実感させられる内容です。

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